黒島・福浦アートプロジェクトは、かつて北前船で栄えた能登半島の2つのエリアで取り組んでいるプロジェクトの総称です。北前船の船主集落として発展した黒島と、「風待ち港」として数多くの北前船を迎え入れた福浦には、目の前に広がる日本海と結びついた独自の文化や暮らし、そして美意識が今なお残されています。その一方で、住民の高齢化や過疎化によって、こうした伝統や風土を後世に受け継いでいく手立てが失われつつあります。こうした危機感から黒島では昨年、風習に習い新たな文化交流を生み出そうと「黒島アートプロジェクト」を立ち上げました。今年は福浦でも同様の試みを始め、6名のアーティストが地元住民の方々との交流を通して、それぞれの土地と向き合っています。
2023年10月14日(土)~11月12 日(日)には、それらの成果を皆様と共有する機会として、作品展示のほかさまざまな関連プログラムを行います。皆様にもこの土地に残された文化に触れながら、黒島と福浦の「いま」と「これから」に目を向けていただければ幸いです。
かつては北前船の船主集落として発展した集落。黒色の釉薬瓦、下見板張りの外壁、正面開口部の格子などが特徴の伝統的な家屋が並んでいます。
江戸時代には幕府直轄の「天領」として栄え、2007年の能登半島地震で大きな被害を受けつつも、歴史的風致を残しています。
2009年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
能登金剛最南端の入り江に位置する港を有する地区。
かつて福良津と呼ばれたこの地は、8~10 世紀には渤海国と交易し、藩政時代には北前船の避難港としても栄えました。
諸国の船が訪れた福浦には船宿が立ち並び、船員相手の商売で華やぎました。北前船の交易によって運び伝えられ、育まれてきた芸能や祭り、史跡などの「みなと文化」が今なお残されています。
建築学を学んだ四方は、展示空間やそれを取り巻く環境を読み解き、それらと呼応する彫刻作品を数多く制作してきました。昨年は黒島の「最も重要な景色」をモチーフにしましたが、今年の福浦では自然と人の営みによって形作られた特異な地形に着目して作品展示を行います。
ロンドンで幅広くアートを学んだ田村は、平面に捉われない絵画の可能性を広げながら独自の視点で風景を描き続ける画家です。福浦では港に面した民家の障子をカンヴァスに見立て、現地での滞在制作を通して街並みに彩りを加えながら新たな風景=風景画を生み出していきます。
ミクサンという瞑想的な技法で世界のありのままを捉えようとする写真家。2021年に黒島に移り住み、この地と向き合いながら写真を撮り続けています。昨年始めたポートレート・シリーズのほか、今年の展示では長瀬の開かれた視点で撮影した写真を通して、黒島の「現在」を物語ります。
廣瀬は、溶けたガラスを細長く引き延ばすことで新たなガラス造形を探求している作家です。 昨年は、窓から入り込む微かな光を頼りに一筋のガラスを展示することで、黒島に流れる時間を 詩的に表現しました。今年も作品を通して、この土地と向き合う術を提示していきます。
松田は、生命の根源である水をテーマに、木や真鍮、石などさまざまな素材を用いて彫刻作品を制作 してきました。黒島やその周辺の海岸で集められた流木を使ってオブジェを制作します。 地元住民の方と協同作業をしながら、この地に流れ着いた流木に新たな生命を吹き込みます。
松本は、自身が奏でる演奏音と偶発的な環境音とを分け隔てなく扱う音楽家です。 本プロジェクトでも、黒島にある音に耳をかたむけこの土地と向き合っています。会期中には、現地で 録音した音源をもとにした作品展示とともに即興的なライブ・パフォーマンスを開催予定です。
黒島・福浦アートプロジェクトの作品は、黒島および福島に点在しています。受付にてスタッフが各作品までのアクセス情報をご案内いたします。
作品鑑賞をご希望の方は、両エリアに設置している「受付」までお越しください(受付15:30まで)。お車でお越しの方は、下記駐車場(無料)をご利用ください。
・受付までの徒歩経路は車通りがあります。交通ルールを守ってお越しください。・福浦は急な坂道がありますので、足元に注意してお越しください。
黒島受付:かぞく會館 石川県輪島市門前町黒島町ロ74番地1 駐車場 天領黒島駐車場(30台)
福浦受付:旧すみれ旅館 石川県羽咋郡志賀町福浦港メ23 駐車場 旧福浦灯台観光駐車場(10台)
空きがあれば当日受付もしますが、できるだけこちらから事前予約をお願いいたします。
①キュレーターによる作品ガイドツアー/黒島・福浦
本プロジェクトのキュレーターと一緒に作品鑑賞してみませんか?
プロジェクトの趣旨や作品解説を交えながら黒島・福浦それぞれのエリアに点在する作品を巡ります。
日 程 :黒島 ― 10 月 21 日 ( 土 )・11 月3日 ( 金・祝 ) 福浦 ― 10 月 22 日 ( 日 )・11 月 12 日 ( 日 )
時 間 : 13:00 ~ 14:00
参加人数:各回10名
参加費: 1,000円(中学生以下は無料)
受付:両エリアの「受付」までお越しください。
②住民による街歩きガイドツアー/黒島・福浦
地元住民の話を聞きながら黒島・福浦それぞれのエリアを散策します。歴史や住民の暮らしぶりから地域の魅力を体感するガイドツアーです。
日 程 :黒島 ― 10 月 15 日 ( 日 )・11 月5日 ( 日 )福浦 ― 10 月 14 日 ( 土 )・10 月 28 日 ( 土 )
③瞑想的写真法 Miksang(ミクサン)で向き合う黒島撮影ワークショップ/黒島 【事前予約制】
見慣れた日常も先入観を取り払えば驚きと発見に満ちた世界が広がっています。黒島在住の写真家・長瀬光恵と共に、黒島のまち、そして自分自身と向き合ってみませんか?
④自己の内面・外面に向き合うヨガプラクティス/黒島【事前予約制】
現代の生活は慌ただしく、気が散り、内面から切り離されがちです。地元在住アイアンガーヨガ指導員・黒澤恵三子が「内的な気づき」へのサポートをします。
⑤黒島の旧旅館で味わう地産地消の精進料理プログラム/黒島【招待制】
黒島在住ベアント・シェルホルンが解釈・表現する精進料理を伝統的な輪島塗の器で提供。暮らしを体感できる空間の中、五感で味わう特別なプログラムです。
⑥松本一哉によるライブ・パフォーマンス【事前予約制】
音楽家・松本一哉によるライブ・パフォーマンスを縁の深い總持寺にて開催します。演奏音だけでなくその場の環境音にも意識を向ける新しい音体験を提供します。
⑦アーティストトーク【事前予約制】
本プロジェクトの参加アーティストとキュレーターが黒島・福浦とどのように向き合ったかをディスカッションを通してお話しします。
1、黒島および福浦は、住民の生活の場です。街歩きをする際には住民のプライバシーに配慮いただくと共に、喫煙やゴミ、騒音など最低限のマナーを守ってお楽しみください。 2、お手洗いは近所の公衆トイレをご利用ください。 3、展示作品や展示会場となっている建物には、お手を触れないようにしてください。
※2日前までがキャンセル可能です
お名前 (必須)
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メッセージ(予約日または予約番号も添えてご連絡ください)
※キャンセル内容を確認のうえ、対応させて頂きます。
能登ふるさと博開催実行委員会(石川県観光企画課内) 076-225-1542(9:00~17:45)
一般社団法人能登半島広域観光協会 0768-26-2020(9:00~17:00)
0768-26-2020(9:00~17:00)