来迎寺は、嵯峨天皇の弘仁5年(814)勅願により中川実範大徳が創建され、翌弘仁6年に「勅定山」の山号を賜り、総寺号を「勅定山 青龍寺(せいりゅうじ)」として数多くの坊舎を有していました。その後、初代穴水城主である長谷部信連の菩提寺として庇護を受ました。そして江戸時代に入り宇留地関寺(うるちせきでら)の阿弥陀如来を迎え本尊となり、寺号を「来迎寺」と改めました。
本堂右手にある護摩堂
本堂右横にある護摩堂には、青龍寺時代のご本尊である不動明王を祀られており、毎月28日には護摩祈願法要が行われています。
ご本尊の向かって右側には「延命普賢菩薩」が、そして左側には「愛染明王」がいらっしゃいます。この左側の「愛染明王」ですが、よくよくみると手に弓矢をもっていらっしゃいます。住職の方によると、愛染明王は「弓矢を持った恋愛の仏様」ともいわれているとのことです。
本堂
本堂内には美しい飾り等が飾られています。こちらは、長谷部信連公の子孫の方が寄付してくださり、今も大切に飾られているそうです。
県指定文化財 名勝 来迎寺庭園
こちらには、県指定文化財に指定の庭園があります。中央にある池は、一筆書きで書かれる「心」という字に見えることから、「心字池」と呼ばれています。
また池の中央には、亀の形をした「亀島」と奥には白い鶴のような「鶴山」があり、おめでたい鶴亀がこの池には存在します。
庭園の横につながる坂を登ると、信連公が高倉天皇より賜わった観世音菩薩が祀られている33年に1度御開帳される観音堂があります。
二幅の幽霊図
本堂左側には、有名な二幅の掛け軸があります。
左は「円山応挙の幽霊の掛け軸」です。樋爪中七が京都で購入して持ち帰ったが、幽霊の掛け軸を掛け飾っていたところ、家族の反対にあいしばらく倉庫に保管していました。ですが、そのことがとても心残りで当寺に持ち込み、お経をあげるなどの供養を依頼したそうです。そのことで心がすっきりしたため、そのまま寺へ預けることになったとのことです。
また右の「細身の幽霊図」は、骨董商の方が能登の地に入ったのち急に商売がうまくいかなくなったことから、荷物を整理したところこの掛け軸がでてきたそうです。もしかするとこの幽霊の掛け軸が商売がうまくいかない理由かと思い、すでに「円山応挙の幽霊の掛け軸」を保管していた当院に持ち込んで供養を依頼したところ、その後商売がうまくいくようになったために、そのまま預けることになり、来迎寺にはこの2つの幽霊の掛け軸が存在するそうです。
県指定文化財 来迎寺菊桜(ライコウジキクザクラ)
境内には、県指定文化財である来迎寺菊桜があります。この桜は花の径は平均4㎝もあり、花びらも250枚ほどある大きな桜の花になります。
本堂正面から境内に向かって左側に県指定文化財の来迎寺菊桜がありますが、実はその右側にも穴水町指定天然記念物 来迎寺菊桜があります。桜の時期になると両側の桜が咲き、境内には桜のアーチができあがり、美しい姿で楽しませてくれます。
さまざまな見どころが詰まった来迎寺は、電話で予約をすると住職がしっかりと説明をしてくださいます。ぜひご予約の上、来館してください。
施設名 | 勅定山 来迎寺(ちょくじょうざん らいこうじ) |
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住所 | 石川県鳳珠郡穴水町大町ヨ109 |
電話番号 | 0768-52-0709 |
拝観時間 | 9:00〜16:00 |
休館日 | 法要時 |
拝観料 | 大人 300円 小学生以下 無料 |
所要時間 | 約30分 |
駐車場 | 約20台 |
アクセス | のと鉄道穴水駅から徒歩10分 |
文化財情報 | 石川県指定文化財 名勝 来迎寺庭園 石川県指定文化財 天然記念物 ライコウジキクザクラ |
ホームページ | https://noto-raikouji.net/ |