美しい黒瓦と建物の横からは日本海の風景が見下ろすことができます。この黒島地区は、能登半島地震により多くの建物が被害を受けましたが、地域住民、行政の協働による調査が進められ、2009(平成21)年6月30日に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
貴重な品が多数展示されている「旧角海家住宅」
輪島市の現存する黒島地区の代表的な廻船問屋住宅である「旧角海家住宅」。主屋は木造二階建て、切妻造平入りの桟瓦葺です。現在の屋敷は、明治4年(1871年)の大火後に整えられ、地元の名匠である工野藤部兵衛によって元通りに再建されたと伝えられています。
「旧角海家住宅」の入口をくぐると、タイムスリップしたかのような姿が広がります。角海家の歴史の中に、北國銀行黒島支店時代があるという珍しい歴史があります。店の間と呼ばれる場所は、北國銀行の窓口でした。
時代が流れ機械導入の際に家の中には設置が難しいということから、その後銀行の業務を終えたそうです。
店の間の正面には内側に蔀戸(しとみど)、外側に簾虫籠(すむしこ)が入っています。蔀戸は横長の板戸で、上下にスライドし、鴨居上部にしまい込むことができる造りになっています。簾虫籠は中から外は見やすく、外から中を見えにくくしています。
そして、中の間には輪島市指定文化財である「藍地波兎模様革羽織」が展示されています。この羽織は、鹿の革でできたというとても珍しい半纏です。そして柄も波と兎の縁起がよい柄が描かれています。
中の間の先にある座敷には、新潟仏壇が飾られています。そして同じ座敷内には神棚も置かれているという珍しい作りです。
建物の間取りは、表通りに平行し、店の間、帳場、中の間、座敷と並び、中庭をコの字で囲むような配置となっています。このようなつくりを「ミツボカコイ」と呼ばれており、黒島地区ではよくみられる作りだそうです。
そして海側には、望楼の間と呼ばれる家族の居室や海を望む望楼が配置されています。ここからは、海の様子がよく見える為、戻ってくる北前船が近づいてきたときはいち早く見つけ、お迎えしたとのことです。
そしてさらに建物内を奥には、家財蔵(三階建)があります。こちらは三階建ての蔵になり、貴重な品等が多数展示されています。
家財蔵の中には、輪島市指定文化財に選定されている「緑漆塗稲穂沈金舟形酒器」がありますが、これはその昔舟の上に乗っているサイコロで出たマスのものに酒を飲むというゲームで使用していたそうです。湯呑やおちょこもありますが、一番大きいものはこの船そのもの。ここに酒を入れると酒の量は一升にもなるそうです。これを飲みきるとなると酔っぱらってしまいますね。昔はこのような遊びをしていたという貴重な品になります。
そして入口から正面を進んでいくと、当時の生活の様子がわかる台所の風景もそのまま残されています。
台所より下流しを過ぎたところには、塩物蔵、小豆蔵、米倉があります。その昔はこの場所に多くの食材を大切に保管していました。
また蔵を過ぎて外へ出ると、セドと呼ばれる通路があります。
地震で大きな被害を受けた旧角海家住宅ですが、現在は復旧作業も完了しています。現在は昔ながらの黒島地区にある廻船問屋の貴重な姿を観覧できる大切な場所です。
施設名 | 旧角海家住宅(きゅうかどみけじゅうたく) |
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住所 | 石川県輪島市門前町黒島町ロの94番地の2 |
電話番号 | 0768-43-1135 |
開館時間 | 9:00~17:00まで(ただし入館は16:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝祭日にあたる場合はその翌日) 年末年始(12月29日から翌年1月3日まで) |
入館料 | 大人 320円 小中学生 150円、 北前船資料館との2施設セット料金 500円 |
アクセス | のと里山海道 穴水ICから 約30分 |
駐車場 | あり 無料 |
ホームページ | https://wajimanavi.jp/ |